朝陽を浴びるタンカー
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屋久島には、世界自然遺産登録エリアをクルマで走れる場所がある。
島の北西部の永田集落と南西部の栗生(くりお)集落を結ぶ、約20キロにおよぶ西部林道だ。
東シナ海に面したこの辺り一帯は、日本最大の原生的な照葉樹林が広がり、海岸線から標高1000メートルを超える高さまで、見事な植物の垂直分布が一望できる。
クルマに乗りながらにして、こうした世界遺産の森が手軽に堪能できるのだ。
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今日はきれいな朝陽が見られ、ロケットの打ち上げもバッチリ見られるだろうと思っていた。
屋久島のお隣、種子島の宇宙センターから、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」を搭載した「H2Aロケット15号機」が、午後0時54分に打ち上げられることになっていたのだ。
いつの間にやら小雨のぱらつく中、打ち上げ10分前に我が家の海手に広がる休耕田へ向かったが、海上には分厚い雲が立ち込め、種子島は一寸も見えない。
そして0時54分、打ち上げ時の閃光が見えないかと水平線に目を凝らすも、何も確認できない。
1分もすれば轟音が響いてくるだろうと耳を澄ませるも、何も聞こえてこない。
「もしや、また延期になったか……?」
10分ほど東の空を見上げていたが、何の変哲もない曇天がそこにあるだけで、1艇の高速船が目の前をかすめていっただけだった。
家に戻って「JAXA(宇宙航空研究開発機構)」のホームページをチェックすると、予定通り定刻に発射されたという。
天気がよければこんな風に見えるのだが、ロケット打ち上げは成功しても、僕自身は不完全燃焼に終わったのだった……。
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正月を東京で過ごした僕たちは、世間よりひと足遅れて、1月6日の最終便の飛行機で屋久島へと戻った。
鹿児島を飛び立って屋久島が見えてくる時分は、ちょうど夕暮れの美しいとき。
その日の屋久島は珍しく雲がかかっておらず、オレンジ色に染まった空を背景に、そのシルエットをくっきりと浮かび上がらせていた。
その光景を目にしたとき、都会の様々な「残像」が一掃され、不思議と精神が研ぎ澄まされていくようだった。
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東京から屋久島へ戻ってきてから、一向に天候が安定しない。
僕の住む船行集落は、何だかあらればっかり降っている。
昨日は嵐のようにあられが降りつけ、我が家の住宅の駐車場は、まるで北国のような風情を漂わせていた。
今日はあられこそ降らなかったが、晴れたり曇ったり雨が降ったりと、落ち着かない一日だった。
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「そうねぇ……。子供が小さいうちは、できるだけ両親に孫の顔を見せてあげたいしね」
「そうだなぁ」
僕たち一家は移住して最初の正月こそ帰省しなかったが、昨年はクルマを引き取りに、一昨年は我が子らの七五三を兼ねて東京に里帰りした。
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